SAY-SHOW
速度の外側
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「速度の外側」は、映画『キャノンボール』の派手なレースそのものではなく、「誰の公式レースにも名前がないまま、それでも毎日スタートラインに立ち続けている感覚」を描いた曲です。誰かの正解レーンをなぞる速さではなく、「本当はどこへ行きたいのか」を基準にハンドルを握り直す、その静かな反抗と選び直しが、曲全体のエンジンになっています。タイトルの「速度」はメーターの数値ではなく、評価軸や常識といった目に見えないスピード感のことで、その“外側”に一歩はみ出すことを、無謀さではなく「自分のペースを取り戻す行為」として肯定します。ゴールテープや拍手のない道を、それでも減速しきらずに走り続ける姿を通して、遠回りや寄り道を失敗ではなく、自分の名前を取り戻していくルートとしてそっと照らした、小さなロードムービーのような一曲です。

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Lyrics

窓の外をかすめてく 知らない誰かのヘッドライト
ほんとはあの列に まぎれたい夜もある

靴ひもを結ぶ その一秒でさえ
スタートラインみたいに 息を止めてしまう
地図アプリのない頃の 遠回りの仕方を
大人になる途中で どこかに置き忘れた

信号待ち ハザードみたいな ためいき
胸の奥でだけ エンジンが空ぶかししている

誰かの正解レーンでは
うまく笑えない自分がいて
追いつくよりも先に
「ほんとはどこへ行きたい?」って
ハンドルを握り直した

速度の外側へ
メーターには映らない方角へ
「間に合うかどうか」じゃなくて
「本当に行きたいか」で決めてみる
遠回りに見える道だけが
僕の名前を ちゃんと呼んでくれた

コンビニのガラスに 映る顔は
昨日とほとんど 変わらないはずなのに
フロントガラスの虫の跡みたいに
見えない傷が 増えていく気がした

追い越していくナンバーを ひとつも覚えてない
覚えているのは 助手席の笑い声だけ

勝ち負けで測れない
レースを走ってる気がして
「速さ」より手前にある
ブレーキを踏まない勇気だけを
アクセルみたいに踏み込んだ

速度の外側へ
ルールブックにないカーブを曲がる
「正しさ」よりも「らしさ」を
少しだけ強く握りしめて
追い風にも向かい風にも
同じ名前で 呼ばれていたい

パトランプの赤が 夜を切り裂いても
逃げたいのは サイレンじゃなくて
「こうあるべき」の看板の列だった

誰かの拍手が聞こえない この道で
それでもアクセルを抜かないことが
ひそかな反逆になるなんて
あの日の僕は 知らなかった

ゴールテープの向こう側より
スタートラインに立ち続ける 膝の震えが
人生のラップタイムを こっそり塗り替えていく

速度の外側へ
メーターを振り切らないままで飛び出す
「全力」と「無茶」のあいだにある
細いグレーゾーンで生きていたい
誰かのレースの観客じゃなく
自分の失敗(ミス)で コースを描いていく

速度の外側で
今日を走りきったエンジンの熱が
さめきる前に 心に触れてみる
間に合わなかった夢の数より
まだ手放していないハンドルの重さを
そっと確かめながら

夜風が車体(ボディ)をなでても 僕は減速しない
ゴールがどこか 知らないままでいい
走り続けることだけが
ひとりきりの 拍手のように響いてる